Nishida Koji ブログアーカイブ

No.89 「バトンの重み」

hitorigoto

幼稚園の先生から小学校の先生へ。小学校の先生から中学校の先生へ。中学校の先生から高校の先生へ。そして、高校の先生から私へ。
一人の人間が社会人として羽ばたく仕上げの段階で、私は教育のバトンを引き継ぐ。まさに教師のアンカー。バトンの重みをずっしりと身体に感じながら、一人ひとりの教育に当たる。

徳育の育成こそが使命であると自負している私にとって、「知っている」ことは意味を成さない。「身に付いている」。教育のゴールは、この一言に尽きる。

昨年末、バトンリレーの成果が明らかにされるときが訪れた。

「青柳」の閉店(ひとりごとVol.88ご参照)に際し、千葉大学拙ゼミナール出身者たちが、どのような行動をとるのか、私は息を潜めながら見守った。アフターファイブに、可能な限りお店に足を運ぶ者。上司・同僚や友人をお店に連れていく者。手紙を認める者。詩を詠む者。花を贈る者。写真集を作る者。皆で寄せ書きや記念品を送ろうと計画する者。それぞれがそれぞれの方法で、感謝の想いを伝え始めた。
マスターやママさんから報告を頂戴する度に、「よし!」と心の中でガッツポーズをした。

「人から受けた恩を、感謝の気持ちを、しっかりと心に刻め」
「心に刻んだ気持ちは、ときが来たら確実に相手に伝えよ」

何度も何度も伝えた。幾度も幾度も伝えた。繰り返し繰り返し伝えた。 口が酸っぱくなるまで伝えた。

「青柳」の閉店は、そのときだった。

閉店の日、私のガッツポーズは、影も形も無くなってしまった。敗北感に包まれた。何の行動も示さなかった者たちのバトンリレー諸氏に、申し訳なさで一杯になった。

ときを見逃した学び子たちよ。
自分ひとりで大きくなった気になっているんじゃない!
言い訳ばっかりするんじゃない!

再度、言っておく。
「人から受けた恩を、感謝の気持ちを、しっかりと心に刻みなさい」
「心に刻んだ気持ちは、ときが来たら確実に相手に伝えなさい」

なあ、それが人というものぞ。

2007年1月
#089 バトンの重み