Nishida Koji ブログアーカイブ

No.85 「蘇った靴」

hitorigoto

私は、身に纏うものの中でも、特に靴を大切にする。革靴であれば、軽く10年は履き続ける。

先日、まだ5年ぐらいしか履いていない革靴に切れ目が入ってしまった。すぐに近くの靴修理店にもって行くも、「これは直しようがありませんよ。」と断られてしまった。
切れ目以外はまだまだ綺麗で十分に履けるので、諦めがつかなかった。その後も色々な修理店に靴を持ち込んだが、すべて諦めてくださいという回答だった。

そんな中・・・。
私は、新橋(東京)に行くと、必ずといってよいほど立ち寄る場所がある。SL広場交番横の靴磨き屋さんだ。露店形式で、おばさんが一人でやっていらっしゃる。学生時代、就職活動中に急に雨が降ってきて靴が汚れてしまった。雨が止んで靴を綺麗にしたいなと思っていたら、その靴磨き屋さんが目に付きお願いした。それ以来、もう20年近く通っている。

「おばさん、ここ切れちゃったんだよね。いろんなお店に行ったんだけど、どこも直してくれないんだ。」
ここのおばさんは決して多くは語られない。だから、私もできるだけ最小限に声をかけるようにしている。
「お兄さん、靴を脱いでごらん。」
しばらくその切れ口を見つめた後、
「おばさんが縫ってあげようか。綺麗には仕上がらないけどね。」

おばさんはいつもどおり黙々と靴を磨いた後、黙々と針で切り口を縫ってくれた。

その切り口は、見る人から見ると、ちょっと変かもしれない。
しかし、私の中では、最高にお気に入りの靴となった。

おばさん、靴も蘇って心から喜んでいます。
有難うございます!

2006年9月
#085 蘇った靴