Nishida Koji ブログアーカイブ

No.72 「画面に向かって念?」

hitorigoto

“Your recommendation letter has been successfully accepted. Thank you.”
(推薦状は間違いなく受理されました)
スクリーン上にこの言葉が浮かび出た。
「これでおしまい? 署名はどうするの?」と思っていると、Digital Signatureなるボタンを発見。そちらにKoji NishidaとタイプしてConfirmボタンを押した。これで全ての作業が終了した。

この時期になると、海外への大学や大学院進学を目指した「学び子」(ひとりごとNo.20ご参照)たちから、推薦人として推薦状の依頼を受けることが多くなる。日本国内の形式ばった推薦状とは違い、英語圏の大学においては、推薦状の果たす役割は大きく、合否にも影響しかねない。依頼者との関係から始まり、神経を使いながら時間をかけて仕上げていく。
幾度となく推敲をした後、署名をして厳封。そして、最後は私のお決まりなのだが、封筒を手のひらに挟み、「絶対合格」をと念を封じ込める。そして、郵便局へ。
これが推薦状を書く際の、私のお決まりの一連作業である。いや、であった。

過日、ロンドン大学経済学部大学院を受験するので、推薦状をお願いしたいとの依頼を一学び子から受けた。二つ返事をし、文章の作成にかかろうとしたとき、推薦状の提出方法がすべてデジタル化されている旨を知らされた。
通常推薦状を依頼された場合、直接その大学へ郵送することが一般的である。しかし、今回は事情が違っていた。

流れは以下のようである。
受験者は、推薦人の名前・所属先とメールアドレスを受験する大学に電子メールで通知する。
大学は、電子メールで推薦人へ確認のメールを入れる。
推薦人が確認の返信メールを送ると、大学からID番号とパスワードが送られてくる。
指定されたURL(ホームページ)から該当するコーナーにアクセスし、ID番号とパスワードを入力。そして、あらかじめ作成した推薦状をメール添付し、送信。すると、文頭の文章が画面に浮かび上がり完了。
という流れだ。

普段推薦状を郵便局から投函した後には、なんとも言えない安堵感や満足感を感じ、一杯やりたくなる(笑)ものだが、この一連の作業終了時には、何ともいえない味気なさを感じた。

「便利さの裏には、必ず失うものがある」

私がいつも声を大にして訴え続けているものだ。

先日、「合格しました」という知らせが届いた。
嬉しさは一入だったが、いつも味わう感激とは一味違ったものとなった。

2005年8月
#072 画面に向かって念?