Nishida Koji ブログアーカイブ

No.48 「呼び名」

hitorigoto

教師になってからこだわっている事の一つに、「学び子」(ひとりごとNo.20ご参照)たちは、名前で呼ぶ、というのがある。姓で呼ぶよりもより親しさを感じるし、何よりもご家族の方が思いを込めてお付けになったその名前を、常に心に留めて呼び続けたいからだ。

これまでどうしても出来なかった、いや、やらなかったことがあった。
女子を呼び捨てにすることだ。男子を呼び捨てにすることには全く抵抗がないのだが、女子には、自分の中での遠慮からか、「ちゃん」を付けて呼んでいた。
これまで女子学生から、「男子同様呼び捨てにしてください」との申し出は幾度かあったが、「ちゃん付けの方が僕にとって自然だから」と、軽く受け流してきた。

そこに断固として立ち向かってきた学び子が登場。通称「直子姉さん」こと林直子である。大学3年次に、1年間の米国留学経験を持つ。「姉さん」と言われるほど逞しく(?)なったのは、留学後のことだ。
「先生、女子もそのまま呼び捨てにしてください。少なくとも私には、ちゃん付けを止めてください」
彼女の真剣な眼差しに、これまでのようにはいかないぞと、覚悟を決めた。「ちょっと時間をくれないかな」
そう言ってきちんと向かい合うことにした。

う~ん、確かに彼女の言うとおりなんだけど・・・
しかし、呼び捨てにするなんて、自分の彼女でもあるまいし、なんだが恥ずかしいんだよな~・・・
嫌がる女子学生いないかな~・・・

悶々としながら、カミサンにも聞いてみた。
「直子さんの言うことは当然ね。私なんか昔からそう思っていたわ。」
いつもながら、サラッと言われてしまった。(笑)

丁度その頃、プロジェクトアドベンチャーという野外キャンプゼミ合宿を終えたばかりで、勇気の大切さをあらためて痛感していた頃だった。

「一歩踏み出す勇気がなくても半歩ならできるかも。半歩踏み出せば、仲間が引き寄せてくれるかもしれない。」
この合宿で、参加者全員が体感した事であった。

「そうだよな。自分からこの事を示さなきゃ。恥ずかしくても、やってみれば女子学生が引き入れてくれるかもしれない。」

よしやってみるか。

林直子に連絡を入れた。
「答えがまとまったよ。いつものところで食事しよう」
顔を見るなり、「直子の言う通りだね」
「ちゃん」をつけずに話を切り出した。年甲斐もなく、みょ~に恥ずかしかった。おそらく私の顔は真っ赤だったに違いない。
直子は、「私の勝ち!」といった趣で、満面な笑顔を浮かべた。

あれから1年が経った。今、女子に対しても何の抵抗もなく、呼び捨てにしている私がいる。

「案ずるより産むが易し」だな。

直子、有難う。

2003年8月
#048 呼び名